南会津 貝鳴山 2010年3月22日

所要時間 駐車場−−貝鳴山−−駐車場


 貝鳴山は栃木/福島県境の山王峠から少しだけ福島側に出っ張った場所にある山で、調べたことはないがたぶん登山道は無いだろうから残雪期が有利だ。ここは西那須野塩原ICに向かう道すがらであり、3連休最終日に登るにはちょうどいい場所である。また、山の規模も標高差400m強であり、2日間の疲労が溜まった足でも短時間で往復できる。連休最終日は高速道路は大渋滞が予想され、できるだけ早く高速に乗って東京に戻ることを考えれば順当な選択といえよう。

 どこを登るかであるが、常識的には最も顕著な北西尾根となるが、ここは末端から山頂まで距離があるし、末端の標高は山麓の中で一番低い。地図を見た限りでは国道から山王峠へと分岐する車道の反対側を末端とする南西尾根が最短と見た。ここもそこそこ大きな尾根なので下山で迷うことはないだろう。

 3連休最終日。昨日から続く冬型気圧配置の影響で南会津は前日から全域で降雪が続いていた。夜には国道の路面まで白くなる有様で、当たり前だが周囲の山は真っ白だ。昨日の真名板倉山の残雪量を考えると貝鳴山は山頂まで雪が無くなっていると思われるが、昨日からの新雪で新たに10〜20cmくらい積もっただろう。

 林道の反対側、尾根取り付きにはちょうど広い駐車余地があったので車を入れて寝たが、夜間もガンガン降雪が続き、車が国道まで出られるのか心配になるほどだった。夜中に小用で外に出ようとドアを開けると車の屋根に積もった雪が頭から落ちてきやがった。ただ、路面の積雪は1,2cm程度でスタックの心配はなく安心して眠りに付いた。

 翌朝、起床すると雪の勢いは昨晩より弱まっているがまだ雪が続いていた。車の周囲の積雪は盤に起きたときと同様なので車が埋もれる心配はない。路面はシャーベット状の雪で覆われているがカチカチに凍ってはいないのでチェーンは不要だろう。しかし車に積もった雪の量は笑えるくらいで、屋根に積もった雪は10cmは越えているし、側面には一度溶けて凍り付いてカチカチになった雪が張り付いていたりと、全体が雪まみれだった。これで東北道を走ったら注目を浴びるだろうなぁ。朝飯を食べてゴアの上下を着てスノーシューを装着して駐車場を出発した。

尾根取り付きの駐車場 ここから尾根に取り付く
樹林中を登る 尾根に出ると踏跡?あり

 駐車場の裏手の斜面に取り付き、最初から(最初だけ)急な雑木帯を登っていく。積雪は数cm程度でスノーシューがなくても歩けるが、おそらく上部は新雪が深いだろうからスノーシューは持っていったほうがいい。樹林は細い木が密生しているが隙間は充分にあり、ジグザグに縫うように歩きやすいところを拾いつつ進んでいく。最初は地形図で見るより尾根らしくない斜面のような場所が続くが、尾根北端に出るとようやく尾根らしくなると同時に明瞭な踏跡が出現した(実際は雪の下で道は見えないが)。北斜面は伐採され明るく、尾根上の木には目印もあり、山頂まで続いているのか不明だが踏跡があるのは間違いない。伐採作業に伴ってできたのだろうか。今までは南斜面だったが、尾根に出ると北からの風がもろに吹き付け、横殴りの吹雪になってしまった。雪が止むのは帰る頃かなぁ。

尾根上の境界標石 吹雪で下界は煙っていた

 積雪は数cm程度で深くはないが、地面の上に直接積もったばかりの新雪で、傾斜がきついところは滑りやすい。北斜面が樹林になっても葉が茂っていない状態では大した風除けにはならず、冷風に冷やされながらの登りだった。気温は-5℃で足の指が痛くなってきた。今日は手の方は手袋の上にオーバーミトンをしているので暖かいが、指が太すぎてデジカメの電源入り切り操作が難しい。ウェストポーチからカメラを取り出すのにも苦労した。

堀のような段差 熊棚

 尾根の途中で露岩が現れ、堀のような段差を下って再び尾根に乗る。この先は適度な傾斜が延々と続き歩きやすいが、尾根右側は小さな雪庇ができかけて吹き溜まりになっており、その上を歩くとかなり沈み込んで疲れるため、稜線の北寄りを選んで歩いた。昨日の真名板倉山と同じだなぁ。途中、大きな鳥の巣のような熊棚を発見しカメラに収める。そういえば今年の残雪シーズンではまだ熊の足跡は見ていないが、そろそろ熊が目覚めてもいい頃だろう。

 山頂が近づくと木の幹に張り付く雪の量が増え、真っ白な木も目立つようになってくる。よく見ると白い木は尾根の風下側である南側直下だけで、その他の木は雪は付いているがベッタリというより僅かに付く程度だ。雪庇ができるのと同じ原理で尾根風下側直下に雪が溜まるようだ。この付近になると積雪量が増え、道形があるのか無いのか全く分からなくなったが、たまに邪魔な木が登場する程度で無雪期でも問題なく歩ける尾根だった。

尾根南半分の木は真っ白 貝鳴山山頂。標識無し

 傾斜が緩んで左右から大きな尾根が合流したピークに到着、地形図を見るとここが貝鳴山最高点だった。標識があるかと思ったら全く見られず、もしかしたらあるとしても三角点峰なのかもしれない。樹林に覆われているので展望は良くないが、隙間を通して家老岳の姿が立派だった。天候は徐々に回復してきたようで、まだ雪は降っているが霞んでいた風景が徐々に見えるようになってきていた。今日の行程は短く短時間で山頂まで到着できたのであまり疲労は感じず、寒くてのんびりしている気分でもないので赤テープを残してすぐ下山にかかった。

自分の足跡を追って下山 吹雪が止んで下界がきれいに見えた

 下りだったら多少雪が深くても問題なく、逆に雪が足へかかる衝撃を吸収してくれるので雪が少ないところよりも歩きやすいので、柔らかい雪の積もった雪庇の上を下っていった。踏跡が明瞭になってくると北斜面が伐採地に変わり下界が良く見えるようになり、朝は吹雪で霞んでいた山々も見えるようになっていた。尾根末端近くで踏跡を離れて自分のトレースを追って駐車場に下った。

 車を走らせる前に車の屋根に降り積もった雪をできるだけ落とし、窓の雪はきれいにこそぎ落として出発。スタッドレスを履いているとはいえ、後輪駆動の2WDでは坂道はちと怖いかと思ったが、路面に雪は残っていても橋の上以外はカチカチに凍った箇所はなくトンネルを抜けて栃木側に出ると少し雪の量が減り、坂が緩む頃には路面の雪は消えていた。降雪自体は塩原温泉まで続いていたが、温泉街の路面は乾いていた。そして西那須野塩原ICに到着する頃には快晴となっていた。

 

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